何もしていないはずなのに、なぜかどっと疲れる。
ちゃんと寝たはずなのに、朝から頭が重い。
ソファで休んでいたのに、逆にぐったりしてしまう……。
そんな感覚、ありませんか?
実はそれ、「休めていない」のは体ではなく脳かもしれません。
私たちは「疲れ=体を動かした結果」だと思いがちですが、現代の疲労の多くは脳の使いすぎから来ています。しかもやっかいなのが、脳は何もしていない時間でも勝手に働き続けてしまう、という点なんです。
スマホを眺めている時間。
ぼーっとしているつもりの時間。
考え事をしながら休憩している時間。
こうした瞬間でも、脳の中では「思考」「不安」「情報処理」が止まっておらず、エネルギーはじわじわ消費され続けています。その結果、「何もしてないのに疲れる」という不思議な状態が生まれてしまうんですね。
この記事では、
- なぜ脳は休んでいるつもりでも疲れてしまうのか
- 脳が休めていない人に共通する思考や習慣
- 意志に頼らず、脳をちゃんと休ませる方法
これらを、脳科学や心理学の視点から、できるだけわかりやすくお話ししていきます。
「私、サボってるわけじゃなかったんだ」
そう気づくだけでも、心は少し軽くなりますよ☺️
がんばり屋さんほど見落としがちな脳からのSOS。
一緒に、やさしく読み解いていきましょう。
1. なぜ「何もしていない」のに疲れるのか
まず大前提として知っておいてほしいのは、疲れ=体の使いすぎとは限らない、ということです。
私たちは「今日はそんなに動いていないから、疲れるはずがない」と考えがちですが、実際には体を動かしていなくても、脳はずっと働き続けています。
脳は体重のわずか2%ほどしかありませんが、体全体のエネルギーの約20%を消費する、とても燃費の悪い臓器です。つまり、何気ない日常を過ごしているだけでも、かなりのエネルギーを使っているんですね。
しかも厄介なのが、脳には完全にオフになる時間がほとんどないという点です。
仕事や家事をしているときはもちろん、
何も考えていないつもりの時間や、ぼーっとスマホを見ている時間でも、脳は「情報を処理する」「思考を巡らせる」「感情を整理する」といった作業を止めていません。
この状態はよく「アイドリング状態」と表現されます。エンジンをかけっぱなしの車のように、止まっているように見えても、エネルギーは消費され続けているのです。
その結果どうなるかというと、体は休んでいるのに、脳だけがじわじわと疲弊していきます。そしてある程度限界に近づくと、
- 集中できない
- やる気が出ない
- 頭が重い、ぼんやりする
- 理由もなくどっと疲れる
といったサインとして表に出てきます。
ここで大切なのは、これは怠けでも根性不足でもないということ。
脳が「これ以上は無理だよ」とブレーキをかけてくれている、ごく自然な反応なんです。

ではなぜ、現代人の脳はここまで休めなくなってしまったのでしょうか。
次の章では、脳が疲れ切ってしまう具体的なメカニズムを、もう少し深く見ていきます。
2. 脳が休めなくなるメカニズム

「脳が疲れている」と聞くと、なんとなく感覚的な話に思えるかもしれません。でも実は、脳疲労にはきちんとした科学的な仕組みがあります。
ここでは、特に影響が大きい3つのポイントに絞って見ていきましょう。
2-1. 集中し続けることで起こる脳内の変化
長時間の仕事や勉強、考えごとをしていると、脳の前頭前野ではグルタミン酸という神経伝達物質が使われ続けます。
グルタミン酸自体は、思考や判断に欠かせない重要な物質です。ただし、使われすぎて脳内に蓄積してくると、神経細胞にとっては負担になります。
すると脳は、自分を守るために「これ以上は処理できないよ」というブレーキをかけ始めます。これが、私たちが感じる「疲れ」「集中できない」「頭が回らない」という感覚の正体です。
つまり、疲労感は敵ではなく、脳からの安全装置なんですね。
2-2. ぼーっとしているときも働く「DMN」
何もしていない時間、脳も休んでいると思っていませんか?
実はこの時間、脳の中ではデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と呼ばれる回路が活発に動いています。
DMNは、過去の出来事を思い出したり、未来を想像したり、自分について考えたりするときに働く回路です。いわゆる「ぐるぐる思考」や「心ここにあらず」の状態も、このDMNが主役です。
問題なのは、DMNはエネルギー消費がかなり大きいという点。ぼーっとしているつもりでも、実際には脳の中で大量のエネルギーが使われ続けています。
特に不安や後悔が多い人ほど、DMNは暴走しやすく、脳が休まる時間がほとんどなくなってしまいます。
2-3. 情報過多とスマホが脳を休ませない
現代人の脳を疲れさせている最大の要因のひとつが、情報の多さです。
スマートフォンを開けば、ニュース、SNS、動画、通知が次々と流れ込んできます。休憩のつもりで見ているはずなのに、脳はずっと「選ぶ」「判断する」「反応する」状態に置かれています。
これでは、体は止まっていても、脳はフル稼働のままです。
「ちょっと休憩しよう」と思ってスマホを見るほど、実は脳を疲れさせてしまっている。この逆説が、何もしていないのに疲れる感覚を、さらに強めているんですね。

では、こうした環境の中で、脳が休めていない人にはどんな共通点があるのでしょうか。
次の章では、日常にひそむ脳疲労を加速させる習慣を整理していきます。
3. 脳が休めていない人の共通点
ここまで読んで、「もしかして私の疲れも脳が原因かも…」と感じた方も多いかもしれません。
実際、慢性的に「何もしていないのに疲れる」と感じている人には、いくつか共通する思考パターンや生活習慣があります。
ひとつずつ見ていきましょう。当てはまるものがあっても、自分を責めなくて大丈夫ですよ。
3-1. マルチタスクが当たり前になっている
仕事をしながらチャットを確認し、
家事をしながら動画を流し、
休憩中もSNSをチェックする。
こうしたマルチタスクは、一見効率が良さそうに見えますが、脳にとってはかなりの重労働です。
人の脳は、同時に複数のことを処理するのが得意ではありません。作業を切り替えるたびにエネルギーを消耗し、その積み重ねが脳疲労を招きます。
「何もしていないのに疲れる」人ほど、実は一日中、細かい切り替えを繰り返していることが多いんです。
3-2. ぐるぐる思考が止まらない
過去の後悔を思い出しては落ち込んだり、
まだ起きていない未来の不安を何度も考えたり。
こうした反芻思考が癖になっている人は、脳がほとんど休めていません。
この状態では、先ほどお話ししたDMNが常に活発に働き、エネルギーを大量に消費し続けます。体は横になっていても、脳の中ではフルマラソン状態、というわけです。
特に真面目で責任感が強い人ほど、「考え続けること=ちゃんとしていること」だと思い込みやすく、知らないうちに脳を酷使してしまいます。
3-3. 睡眠時間は足りていても、質が足りない
「ちゃんと寝ているはずなのに疲れが取れない」という人も多いですよね。
これは、睡眠中に脳が十分に回復できていない可能性があります。
脳の老廃物を洗い流すグリンパティック・システムは、主に深いノンレム睡眠中に働きます。眠っている時間が長くても、睡眠が浅ければ脳の掃除は進みません。
寝る直前までスマホを見ていたり、考え事をしたまま布団に入ったりすると、脳はなかなか休息モードに切り替わらないのです。
3-4. 「こうあるべき」に縛られている
「ちゃんとやらなきゃ」
「休むのは悪いこと」
「もっと頑張らないと」
こうしたべき思考が強い人は、常に心のどこかで緊張状態が続いています。
この緊張は、情動を司る扁桃体を刺激し、それを抑え込もうと前頭前野がさらに働く、という悪循環を生みます。結果として、脳のエネルギー消費はどんどん増えてしまいます。
「何もしていないのに疲れる」と感じるのは、心が弱いからではありません。むしろ、ずっと気を張り続けてきた証拠とも言えるのです。

では、こんな状態の脳を、どうすれば本当に休ませることができるのでしょうか。
次の章では、意志や根性に頼らず、脳を自然に休ませる具体的な方法をご紹介します。
4. 脳を効果的に休めるセルフケア実践編
ここからは、「じゃあどうすれば脳は休めるの?」という実践パートです。
ポイントは、気合いや意志で頑張らないこと。 脳は説得するものではなく、環境と条件で自然に休ませるものだからです。
今日からできる方法を、段階的に紹介していきますね。
4-1. 思考を止めようとしない。「脳の空白」をつくる
「脳を休める」と聞くと、「何も考えないようにしなきゃ」と思いがちですが、実はこれ、かなり難易度が高いです。
むしろおすすめなのは、考えごとが起きにくい状態をつくること。
たとえば、目を閉じて呼吸に意識を向けるだけでもOK。 雑念が浮かんでも、「ダメだ」と止めようとせず、またそっと呼吸に戻します。
この「戻る」を繰り返すだけで、過剰に働いていた前頭前野が少しずつ静まっていきます。
ただ、「静かにしよう」とすると逆に考えが増えてしまう人も多いんですよね。
そんなときは、脳を休ませるスイッチを外側から入れるのがおすすめです。
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目元を温めると、副交感神経が優位になり、思考のスピードが自然と落ちていきます。 「何もしなくても、勝手に緩む」感覚があるので、考えすぎタイプの人ほど相性がいいですよ。
4-2. DMNを鎮める「音と環境」の力を借りる
脳が休めない大きな原因のひとつが、環境からの刺激です。
無音が苦手で、ついテレビや動画を流してしまう人も多いと思いますが、 実はこれ、脳にとってはずっと情報処理を強いられる状態です。
そこで役立つのが、意味を持たない一定の音。 いわゆるホワイトノイズです。
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一定のリズムの音は、DMNの暴走を抑え、注意をやさしく分散させてくれます。 「考えごとが止まらない夜」や「在宅ワークで頭がパンパンなとき」に特に効果を感じやすいです。
4-3. 睡眠中に脳を回復させる「条件」を整える
脳の本格的なメンテナンスは、やはり睡眠中に行われます。
ただし大切なのは、寝ている時間よりも脳が回復できる睡眠かどうか。
寝る直前までスマホを見る、布団に入ってから考え事をする、 こうした習慣があると、脳はなかなか休息モードに切り替われません。
「睡眠環境を整えても、なかなか疲れが抜けない」という人は、 脳のエネルギー代謝そのものが落ちている可能性もあります。
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ビタミンB群は、脳のエネルギー産生に欠かせない栄養素です。 睡眠・休息・栄養、この3つがそろってはじめて、脳はしっかり回復します。

「何もしてないのに疲れる」という状態は、あなたがダメだからではありません。 脳がずっと頑張り続けてきただけなんです。
5. 補足:それでも疲れが取れないときの考え方
セルフケアを試してみても、「どうしても疲れが抜けない」「休んでも回復しない」と感じることがあります。
そんなときに大切なのは、自分を責めないことと、別の視点を持つことです。
慢性的な脳疲労は、単なる生活習慣の問題ではなく、心身のバランスが長期間崩れてきた結果として表れている場合もあります。
5-1. 「脳疲労」は気合では回復しない
「休めばそのうち治るはず」
「もっと頑張れば抜けるはず」
こうした考え方は、むしろ脳疲労を長引かせてしまうことがあります。
疲労感は、脳が発している重要なアラームです。無視し続けると、集中力の低下や意欲の喪失、不安感の増大といった形で、さらに強く表に出てくることがあります。
5-2. 客観的に状態を把握するという選択
自分の疲れ具合は、意外と主観だけではわかりにくいものです。
最近では、脳疲労やメンタルの消耗度を測るための自己評価指標もあります。たとえばメンタル・ファティーグ・スケール(MFS)は、簡単な質問に答えることで、疲労の傾向を把握できる方法のひとつです。
また、心拍変動(HRV)や睡眠の質をチェックすることで、回復力の目安を知ることもできます。
5-3. 専門家の力を借りることは「逃げ」ではない
疲れが何週間、何か月も続いている場合は、医療や専門家のサポートを検討するのも大切な選択肢です。
近年は、副作用が少ないとされるTMS(経頭蓋磁気刺激)など、脳の特定部位にアプローチする治療法も登場しています。
また、心理カウンセリングや認知行動療法によって、ぐるぐる思考や過剰な緊張を緩めていくケースもあります。
「ここまでしなきゃいけないの?」と思うかもしれませんが、 それだけあなたの脳は、これまで本気で頑張ってきたということ。

助けを借りることは、弱さではなく回復のための知恵です。
まとめ|「何もしてないのに疲れる」は、脳からの大切なサイン
何もしていないのに疲れる。 この感覚は、決して甘えでも、怠けでもありません。
その正体は、多くの場合体ではなく、休めていない脳にあります。
現代の私たちは、情報・思考・不安・刺激に常にさらされ、 「止まっているつもりでも、脳だけが働き続けている」状態になりがちです。
この記事では、
- 脳は何もしていない時間でもエネルギーを消費すること
- DMNや情報過多が脳疲労を加速させること
- マルチタスクやべき思考が休息を妨げていること
- 意志ではなく、環境と条件で脳を休ませることが大切なこと
こうしたポイントをお伝えしてきました。
私が一番伝えたかったのは、 「もっと頑張らなきゃ」と思う必要はないということです。
脳が疲れているときに必要なのは、努力ではなくやさしさ。 自分を責めるのをやめて、回復しやすい状態を整えてあげることなんです。
今日できる小さな一歩で大丈夫。 目を閉じる、音を減らす、ちゃんと眠る。
それだけでも、脳は少しずつ元気を取り戻していきます☺️
「疲れた」と感じたら、それは休むべきタイミング。 どうかそのサインを、無視しないであげてくださいね。
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参考文献・出典
- 脳疲労とは何か|メンタル疲労と脳の仕組み(nou lab)
- Cognitive fatigue and its neural mechanisms(PubMed Central)
- Cognitive fatigue: new insight into biological mechanisms(Paris Brain Institute)
- Neurobiological basis of mental fatigue(PubMed Central)
- 「脳が疲れる」とはどういう状態か(DIAMOND online)
- 脳疲労の症状と治療について(東京横浜TMSクリニック)
- Directed attention fatigue(Wikipedia)
- Ego depletion(Wikipedia)
- Sleep(Wikipedia)
- Sleep deprivation(Wikipedia)
- 脳疲労とは?原因と回復のヒント(アリナミン製薬)
- なぜ人は「何もしていないのに疲れる」のか(東洋経済オンライン)
- Why the brain zones out when you’re exhausted(Live Science)
よくある質問
- Q休んでいるのに疲れるのは病気でしょうか?
- A
一時的なものであれば、生活習慣や脳疲労が原因のことが多いです。ただし、数週間以上続く強い疲労感や、日常生活に支障が出る場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
- Q瞑想やマインドフルネスがどうしても苦手です
- A
無理に「うまくやろう」としなくて大丈夫です。目を温める、一定の音を流すなど、考えなくても脳が落ち着く方法から始める方が、結果的に続きやすいですよ。
- Q何から始めるのが一番効果的ですか?
- A
まずは「休憩中にスマホを見ない時間」を少し作ることがおすすめです。それだけでも、脳への刺激は大きく減ります。小さな変化を積み重ねていきましょう。






